健康

胎児の生育に必要不可欠な栄養素。葉酸の効果と影響とは

妊娠中の女性にとって、ご自身とおなかの赤ちゃんの健康はとても気がかりなものですね。妊娠中にしっかりと摂取する必要がある栄養素の代表的なものに、葉酸があります。この記事では、葉酸とはどんな栄養素なのか、どのような働きをするのか、葉酸がおなかの赤ちゃんの生育にどのような影響を与えるのか、葉酸をたくさん含む食事などについて解説します。

 

葉酸とは

 

葉酸は、水溶性のビタミンB群の一種です。葉酸は緑黄色野菜などに多く含まれているため、野菜不足の方はどうしても不足しがちな栄養素と言えます。くわえて体に貯蓄されにくい性質をしているため、意識的に摂取することが推奨されています。

 

葉酸の役割と体への影響

 

葉酸には以下のような役割があります。

 

新しい赤血球を作る

葉酸は、赤血球の生成を助ける栄養素として、ビタミンB12とともに「造血のビタミン」とも呼ばれています。

 

血中のホモシステイン濃度を正常に保つ

葉酸は、ビタミンB12とともに、動脈硬化の引き金となる血中のホモシステイン濃度を正常に保つ役割をしています。

 

胎児の細胞分裂に関わるDNAを合成する

葉酸は妊婦さんにとって必要不可欠な栄養素としても知られています。妊娠初期の、赤ちゃんの細胞分裂が活発に行われる時期には、遺伝情報に関わるDNAの合成を助ける役割をしています。

 

胎児の先天異常リスクを防ぐ

妊娠中に葉酸を十分に摂取することで、赤ちゃんの先天異常である神経管閉鎖障害のリスク、それにともなう脊椎二分症・無脳症などのリスクを軽減できます。

 

胎児に深刻な影響が。葉酸欠乏のリスク

 

葉酸欠乏が重大疾患を引き起こしやすくさせる

葉酸の欠乏は、以下のような病気との関連が指摘されています。

 

・心血管疾患

葉酸には、ホモシステインを分解する酵素の分泌を促す働きがあります。そのため、葉酸が欠乏すると、血中のホモシステイン濃度が上昇やすくなり、動脈硬化・心筋梗塞をはじめとする心血管疾患を招く恐れがあります。

 

・脳血管障害

同様に、動脈硬化によって脳梗塞をはじめとする脳血管障害を招く恐れがあります。

 

・認知症

葉酸の欠乏と認知症発症との関連も指摘されています。

 

・貧血

葉酸が欠乏すると、巨赤芽球性貧血を引き起こしやすくなります。この疾患では、血液中に大きな赤血球(巨赤芽球)が発生します。症状としては、通常の貧血と同様のめまいや立ちくらみ・動悸などのほか、進行すると胃粘膜が萎縮することもあります。

 

胎児の生育に大きな影響を与える

妊娠中に葉酸が欠乏すると、おなかの赤ちゃんが神経管閉鎖障害という病気にかかるリスクが高まります。この病気にかかると、通常であれば妊娠28日までに閉鎖する神経管が閉鎖されず、無脳症や二分脊椎などの奇形が発生する恐れがあります。厚生労働省でも、神経管閉鎖障害の発生リスク軽減のために、妊娠を計画している女性に対して葉酸の摂取を推奨する通知を発表しています。

 

葉酸摂取量の目安

 

18歳以上男女の1日あたりの摂取推奨量

厚生労働省が発表している「日本人の食事摂取基準(2015年版)」では、葉酸の一日の摂取の推奨量を18歳以上の男女ともに240㎍と定めています。

※㎍は100万分の1グラム

 

妊婦さんの摂取推奨量

妊婦さんは、おなかの赤ちゃんの健やかな発育のために、さらに多くの摂取が推奨されています。

 

・妊活中(妊娠1ヶ月前程度)〜妊娠初期

通常の食事による摂取240㎍+サプリメントなどでの摂取400㎍

 

・妊娠中

通常の食事による240㎍+サプリメントなどでの摂取240㎍

 

・産後〜授乳期

通常の食事による240㎍+サプリメントなどでの摂取100㎍

 

妊娠を希望する女性は、妊活中(妊娠の1ヶ月以上前から)葉酸をしっかりと摂取しておくことが推奨されています。これは、赤ちゃんの神経管閉鎖障害などの先天異常の多くが、妊娠初期に発生しているためです。妊娠が発覚してからの摂取では対応が遅れてしまう恐れがあります。

 

葉酸を効率的に摂取する方法

 

葉酸を多く含む食品

葉酸は以下の食品に多く含まれています。ここでは食品100gあたりに含まれる葉酸量をご紹介します。ただし、後述しますが食品に含まれる葉酸量=体内における吸収量というわけではありません。

 

【海藻類】

・焼きのり:1900㎍

・味付けのり:1600㎍

・乾燥わかめ:440㎍

・乾燥こんぶ:170㎍

 

海藻類は葉酸を多く含んでいます。焼きのりや味のりは加熱せずにそのまま気軽に食べられるので、ごはんのお供や間食として取り入れると良いでしょう。

 

【野菜】

・枝豆(茹で):260㎍

・アスパラガス(茹で):180㎍

・ほうれん草(茹で):110㎍

・パセリ(生):220㎍

・モロヘイヤ(茹で):67㎍

 

野菜の中でも緑黄色野菜は葉酸を多く含みます。お湯で茹でると葉酸がお湯に溶け出して含有量が減ってしまいますが、電子レンジ調理なら葉酸の減少を防げます。

 

【豆類】

・納豆:120㎍

・きなこ:250㎍

・大豆(乾燥):230㎍

 

納豆やきなこは葉酸の摂取におすすめの食材です。納豆が嫌いでなければぜひ食事に積極的に取り入れてみましょう。きなこは、牛乳に溶かしてきなこ牛乳にするのがおすすめです。美味しく無理なく葉酸を摂取できます。

 

【果物】

・ライチ:100㎍

・いちご:90㎍

・アボカド:84㎍

・マンゴー:84㎍

 

葉酸は熱に弱い性質がありますが、果物は生で食べられるので葉酸の補給に適しています。

 

【肉類】

・鶏レバー(生):1300㎍

・牛レバー(生):1000㎍

・豚レバー(生):810㎍

 

レバー類も葉酸を多く含みます。ただし、妊活中・妊娠中の方は、レバー類は避けた方が良いでしょう。というのも、レバーはビタミンAも多く含んでいるからです。妊娠中のビタミンAの過剰摂取は赤ちゃんの奇形発生リスクを高め、1切れだけでビタミンAの摂取上限を超えてしまうのです

 

食材に含まれる葉酸は、体への吸収率が50%程度に落ちる

上記のような食材に含まれる葉酸の大半は、ポリグルタミン酸型と呼ばれるものです。このポリグルタミン酸型葉酸は、加熱や胃酸によって50%程度しか吸収されないと考えられています。つまり、食事で葉酸を摂取する場合、800㎍摂取しても400㎍程度しか吸収されないというわけです。このことから、妊娠中の方は特に、食事だけで葉酸を必要量摂取するのは難しいと言えるでしょう。

 

サプリメントの摂取で葉酸代謝をサポートする

妊活中や妊娠中は葉酸を多く摂る必要があるとはいっても、食事だけで推奨摂取量を補うのはなかなか大変です。食事だけで+400㎍の葉酸を摂取しようとすると、ほうれん草で考えると約13株も食べないといけません。

 

厚生労働省でも、通常の食事での摂取に加えてサプリメントなどを活用して必要量を満たすように通知を出しています。クロレラには葉酸が含まれており、妊活中の方や妊娠中の方はクロレラで効率的に葉酸を摂取することをおすすめします。また、クロレラの葉酸代謝に関する研究もされており、興味のある方は以下をご覧ください。

 

「クロレラ食品が葉酸代謝に及ぼす影響」

 

摂り過ぎには注意

なお、葉酸は摂取量を大きく超えると、健康に悪影響を及ぼす恐れもあります。食材に含まれる量を把握するとともに、サプリメントを活用する場合は1日の摂取量をきちんと守るようにしましょう。

 

まとめ

赤ちゃんの健やかな発育のためにとって、葉酸は必要不可欠な栄養素です。妊婦さんや妊活中の方は、1日あたりの推奨量を満たせるよう留意しましょう。また、妊婦さん以外の方も、貧血や動脈硬化・心筋梗塞・脳梗塞などの疾患を防ぐために、ぜひ葉酸の摂取を。普段の食事メニューを見直し、葉酸を多く含む緑黄色野菜や海藻類・果物を積極的に食べるようにしてみましょう。