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腸内環境の乱れが便秘の原因に。冬場に悪化しやすい腸内環境を整えるためには?

多くの方が悩んでいる便秘。便秘の予防改善には、腸内環境を健やかに保つことが大切です。特に冬場は腸内環境が悪化して便秘になりやすい時期。今年の冬は、腸内環境を整えて便秘知らずの元気な体を目指しましょう。そこで今回は、腸内環境が悪化する原因や腸内環境を整えるための方法などをご紹介します。
※2021年1月公開

 

冬場は便秘になりやすい季節!その理由とは

「冬になると便秘が悪化する」という方は多いのではないでしょうか。冬は体の冷えや水分不足・運動不足などによって、腸内環境が悪化し便秘になりやすい時期と言えます。

体の冷え

冬は体が冷えやすいので、それにともなって腸の動きも悪くなってしまいます。また、体温を逃さないようにするために体は血管を収縮させようとします。そのときに交感神経が働き、それもまた腸の動きを悪くさせると考えられます。また逆に体が冷えすぎて腸が過剰に動き、下痢になることもあります。

水分不足

冬は夏場ほど喉の渇きを感じにくいため、水分摂取量が少なくなりがちです。しかし、冬場は空気が乾燥していたり暖房をつけていたりするので、気づかないうちに体内の水分が奪われていることも。そのため、体内の水分が不足して便秘になりやすくなります。

運動不足

寒くなると動くのが億劫になり、活動量が減る方は多いかと思います。体が運動不足になると腸の動きも低下するため、便秘を招きやすくなります。

このように冬場は便秘になりやすい要因が多数あります。冬場の便秘を予防改善するためには、体の冷えや水分不足・運動不足に注意しましょう。また、冬場の便秘を防ぐためには、あわせて腸内環境を整えることも大切です。

 

腸内環境の良し悪しを決める、「腸内フローラ」とは

便秘の予防改善に必要不可欠なのが、腸内環境を整えること。腸内環境を整えるために、まずはキーポイントとなる「腸内フローラ」について知っておきましょう。

腸内フローラとは

腸内には、100種類以上・100兆個以上の腸内細菌が生息し、「腸内フローラ」と呼ばれるものを形成しています。腸内細菌は、善玉菌・悪玉菌・日和見菌の3種類。これらが理想的なバランスで生息していると、腸内環境は良好な状態になります。

しかし、さまざまな原因によりこのバランスが崩れると、体に不調や変化が現れてしまいます。

3種類の腸内細菌、それぞれの特徴

・善玉菌

善玉菌は、一言で言うと「体に良い働きをする菌」。腸の運動を促しておなかの調子を整えたり、消化吸収の補助や免疫刺激などの役割をしています。善玉菌として代表的なのは、ビフィズス菌や乳酸菌など。

・悪玉菌

悪玉菌は、一言で言えば「体に悪影響を与える菌」です。腸内を腐敗させて有害物質を作り出し、便秘や下痢、お腹の張りなどを引き起こします。悪玉菌として代表的なのは、ブドウ球菌やウェルシュ菌など。

・日和見菌

日和見菌は、腸内の善玉菌・悪玉菌の、優勢な方に味方する菌です。そのため、健康なときは無害ですが、体が弱っているときには悪玉菌の方に味方し悪い働きをします。

 

腸内フローラのバランスが崩れるとどうなる?

善玉菌・悪玉菌・日和見菌の理想的なバランスは、「善玉菌20%:悪玉菌10%:日和見菌70%」とされています。しかし。このバランスが崩れて善玉菌より悪玉菌の勢力が増すと、以下のような体調不良や病気を招く恐れがあります。

・便秘や下痢

悪玉菌が優勢になると、腸内の腐敗が進んで腸内環境が悪化するため、下痢や便秘を招きます。また、便秘が続くとさらに腸内環境が悪化…という悪循環に陥ってしまいます。

・ニキビなど肌荒れ

悪玉菌が増えると、腸内で有害毒素が発生し、それが血液を介して全身に巡ります。そのせいで肌がダメージを受け、ニキビや肌荒れの原因に。

・免疫力の低下

腸内環境が悪化すると、腸管内にある免疫システムの働きも低下します。そのため外部からのウイルスや細菌に対する抵抗力が弱まり、風邪などの感染症を発症しやすくなると考えられます。

・うつ状態や気分の落ち込み

腸内細菌は、幸福感やポジティブ思考を作り出すためのホルモン物質(セロトニンやドーパミンなど)の合成にも関係しています。腸内環境が悪化していると、これらの合成がスムーズにいかなくなるため、うつや気分の落ち込みを招くと考えられます。

 

腸内フローラのバランスはなぜ崩れてしまうの?

悪玉菌が増殖し善玉菌よりも優勢になると、便秘をはじめとするさまざまな体調不良や病気を招きます。ではなぜ悪玉菌が増殖してしまうのでしょうか?その原因は以下が考えられます。

  • 栄養バランスの偏った食事
  • お酒の飲みすぎ
  • 精神的なストレス
  • 運動不足
  • 睡眠不足

このほか、年齢によって腸内環境は変化し、年をとるにつれて悪玉菌の割合が高くなるとされています。加齢にともなう変化は逆らいようがないものではありますが、だからこそ日頃から意識的に腸内環境を整えるための対策をしたいものです。

 

腸内環境を整えるためにできること

便秘をはじめとする体調不良の予防改善には、腸内フローラのバランスを整えて善玉菌を増やすことが大事。そのためには、食生活を工夫するのが近道です。

食事で腸内環境を整えよう

・栄養バランスの良い食事を

悪玉菌は、肉類に含まれるタンパク質などをエサにして増殖します。普段から肉料理が中心で野菜が少ないメニューばかり食べている方は注意が必要です。意識的に野菜料理や魚などを選ぶことが大切です。

・小麦と乳製品を抜いてみる

小麦に含まれるグルテンというタンパク質と、乳製品に含まれるカゼインというタンパク質が、腸の粘膜に穴を開け、腸を荒らしてしまうことが分かっています。腸内バリアーが破綻し有害な物質が入り込むようになるだけでなく、せっかく摂った栄養素が、その穴から漏れ出て行ってしまうため「漏れる腸」「腸漏れ」とも呼ばれており、このような病態を「リーキーガット症候群」と言います。当然、腸内環境は悪化するため、腸に悪いものを抜いてあげることも大切です。

・善玉菌を多く含む食品をとる

善玉菌の代表格である乳酸菌を含む食品を意識的に取り入れましょう。その人の体質に合った乳酸菌を摂取できれば、腸内環境を整える効果が期待できます。味噌や納豆・キムチ・ぬか漬けなど発酵食品がおすすめです。毎日のメニューにプラスすると良いでしょう。

・善玉菌の餌になる食物繊維を含む食品をとる

善玉菌が住みやすい環境をつくるために、善玉菌の餌となる食物繊維を含む食品を意識的にとるようにしましょう。なお、食物繊維は、水に溶ける「水溶性食物繊維」と水に溶けない「不溶性食物繊維」に分けられます。善玉菌のエサになりやすいのは水溶性食物繊維。野菜や果物・海藻類などを積極的に食べるようにしましょう。

クロレラを飲用することで便秘や腸内環境に良い影響が?

クロレラ飲用により排便量および排便回数が有意に増加しました。これはクロレラに含まれる食物繊維やミネラル類などの栄養素が作用していると考えられます。また、クロレラ飲用により腸内細菌叢(腸内フローラ)が変動し、腸内環境改善に寄与している可能性が示唆されました。

▶研究内容や結果について、詳しくはこちらをご覧ください。

生活習慣の見直しも大切

腸内環境は、食事や運動・睡眠などの生活習慣の影響でも変化します。食生活の見直しとあわせて、以下の点にも気をつけましょう。

  • 精神的なストレスをため込まない、上手に息抜きをする
  • 運動不足にならないよう、意識的に体を動かす
  • 睡眠不足にならないよう、規則正しい生活を心がける

 

まとめ

冬場に悪化しがちな便秘、気になる肌荒れやニキビ、感染症などの病気の予防のためには、腸内フローラのバランスを整えて腸内環境を健やかに保つことが大切。そのための対策をぜひ今日から取り入れてみてくださいね。

 

この記事の監修医師

大阪肛門科診療所 肛門科専門医・指導医 佐々木 みのり

日本でも20名余りしかいない数少ない女性の大腸肛門病専門医・指導医。大阪医科大学卒業。大阪大学皮膚科に入局。4年間皮膚科医としての経験を経て肛門科医に転身。元皮膚科医という異色の経歴を持つ。創業明治45年の老舗肛門科である大阪肛門科診療所の副院長。約20年間に10万人近くの患者さんを診察。痔の原因となった出口の便秘を治すことによって多くの痔疾患を手術せずに治療している。全国各地や海外から患者さんが訪れている。
URL:https://osakakoumon.com/