健康

アスリートは貧血になりやすい?その理由と改善策

「アスリートは一般の人よりも健康」そう考えている方が多いかもしれません。しかし、一概にそうとは言えません。実はアスリートは貧血になりやすいのです。日頃から運動をし、食生活や栄養バランス・生活主観にも気を遣っているはずなのに、なぜなのでしょうか?この記事ではアスリートが貧血になりやすい理由や、アスリートがなりやすい貧血の種類、貧血の予防策などについて解説します。

そもそも貧血とは?

貧血の9割は鉄分が足りないことで起きる

貧血とは、体内に酸素がうまく送られないことで酸欠になっている状態を指します。貧血の約9割は、鉄分が不足していることにより起こる鉄欠乏性貧血です。血液には、赤血球という肺から取り込んだ酸素を全身に運ぶ細胞があります。この赤血球の中で実際に酸素を運んでいるのは、ヘモグロビンというタンパク質。ヘモグロビンをつくるためには鉄分が必要で、鉄が足りないとヘモグロビンが減少し、体内に酸素がうまく送られず酸欠状態になってしまいます。このような状態を貧血と呼びます。

鉄欠乏性貧血で起こる症状

鉄欠乏性貧血になると、以下のような症状が現れます。

  • 全身の倦怠感
  • めまい
  • 耳鳴り
  • 頭痛
  • 動機
  • 息切れ
  • 顔面蒼白

このほかにも、爪が薄く平坦になる「匙状爪」といった症状や舌の痛み・口角炎・嚥下障害などが起きることもあります。また、気力が低下したり気分が落ち込んだりなどといった精神症状が現れる人もいます。

アスリートが貧血になりやすいのはなぜ?

アスリートは、一般の人よりも栄養管理や運動をしています。それなのになぜ貧血になりやすいのでしょうか?その理由は以下が考えられます。

激しいトレーニングによる鉄分不足

アスリートは、激しいトレーニングによって汗や消化管からの鉄の排出量が多くなり、鉄欠乏性貧血を起こしやすくなると考えられます。一般の人に比べて体内で鉄の供給が追いつかなくなり、鉄不足になりやすいのです。

フットストライク溶血

アスリートが貧血になりやすい原因のひとつが、「フットストライク溶血」です。フットストライク溶血とは、足の裏が地面と接地する際の衝撃で赤血球が壊されることを指します。これによって鉄欠乏性貧血が起こりやすいといわれています。特に陸上選手やサッカー・バレーボール・バスケットボール・剣道などの選手に多いとされています。

貧血と似て異なる「スポーツ貧血」が起きることも

貧血ではありませんが、貧血に似た症状が起こることがあります。このような症状をスポーツ貧血と言います。スポーツ貧血は、主にトレーニングの開始早期に発生する、アスリートに特徴的な症状です。
体が激しい有酸素運動や筋肉運動に順応していく過程での「偽貧血」であり、一過性であるケースがほとんど。体がまだ慣れていないトレーニング開始時、激しい運動によって血漿量(血液から赤血球・白血球・血小板の有形成分をとりのぞいた液体のこと)は10~20%減少します。それゆえに、貧血と似た症状が起きるのです。

スポーツ貧血はトレーニングを重ねていくことで解消されます。

女性アスリートは月経による鉄不足にも注意

初潮を迎えた後の女性は、月経によって男性に比べて鉄の排出量が高くなります。一説では、月経によって月に30mg程度の鉄分が失われるとも言われています。女性アスリートは特に鉄分不足に気をつけるべきでしょう。

貧血によるパフォーマンスへの影響

貧血とは、体が酸欠状態になっているということ。そのため、貧血状態になっていると、有酸素運動の能力が低下し、持久力が落ちやすくなります

陸上選手や持久力系のスポーツでは、記録に如実に現れることがほとんど。また、体がだるくパフォーマンスが低下したり、いつもできているトレーニングメニューがこなせなくなったりもします。このほか、疲れが取れなかったりやる気が低下したりすることもあります。

アスリートが貧血を防ぐには鉄分の意識的な摂取が重要

アスリートが貧血を防ぐためには、食事で鉄分を摂取するよう意識しましょう。

鉄分はどのくらい摂るべきか

鉄分の1日の摂取推奨量は以下を参考にしてください。

【男性】

  • 18歳〜29歳 7g
  • 30歳〜49歳 7.5g
  • 50歳〜69歳 7.5g

【女性】

  • 18歳〜29歳 6g
  • 30歳〜49歳 6.5g
  • 50歳〜69歳 6.5g

参照:日本人の食事摂取基準(2015年版)

上記の数値は一般的な男女への推奨量です。激しいトレーニングで鉄分の排泄量が多くなるアスリートは、この目安数値よりも多くの鉄分を摂取する必要があるでしょう。

鉄分の種類と役割

食品に含まれている鉄分は「ヘム鉄」と「非ヘム鉄」の2種類。ヘム鉄は、体内での吸収率が非ヘム鉄よりも5〜6倍ほど高いとされています。一方、非ヘム鉄は同時に摂取する栄養素によって吸収率が高まり、特にビタミンCと一緒にとると吸収されやすくなります。

鉄分を多く食品

・ヘム鉄を多く含む食品

ヘム鉄は肉や魚などの動物性食品に多く含まれます。特にレバーや赤み肉がおすすめです。このほか、鶏卵やあさり・牡蠣などもヘム鉄が豊富です。これらの食品は年間を通じて手に入れられますので、積極的に食べましょう。

・非ヘム鉄を多く含む食品

対して、非ヘム鉄は野菜や豆類に多く含まれます。特に小松菜やほうれん草など。おひたしや炒め物・汁物などに使いやすい野菜なので、ぜひいろいろなメニューに取り入れてみてください。また、非ヘム鉄は豆乳にも豊富に含まれています。豆乳もそのまま飲むのはもちろん、スープにしたり鍋にしたりとアレンジしやすい食品なので、日常的に取り入れると良いでしょう。

鉄分の吸収を高めるために

鉄分の吸収を高めるためには、いくつかポイントがあります。

・鉄の吸収を助ける栄養素と一緒に摂る

鉄分の吸収は一緒に摂る栄養素によって変わります。ひとつは前述したようにビタミンCと一緒に摂取すること。特に非ヘム鉄の吸収力を上げるには、ビタミンCとの組み合わせがおすすめです。柑橘系の果物などを一緒に食べると良いでしょう。

・鉄分の吸収を妨げるタンニンの摂取を控える

鉄の吸収を妨げるタンニンの摂取を控えることも大事です。タンニンは、鉄分と結びつくことで「タンニン鉄」という物質になり、腸での吸収が悪くなります。タンニンはコーヒーや紅茶・緑茶・烏龍茶など、日頃から何気なく口にする飲み物に豊富に含まれています。コーヒーや紅茶・お茶を日常的に飲む習慣がある方は、タンニンの少ない飲料に替えることをおすすめします。

・胃酸の分泌を促すと吸収率アップ

鉄分は胃酸が十分に分泌されている状態だと吸収されやすくなります。胃酸の分泌を促すためには、よく噛んで食べることが大事です。ついつい早食いしてしまう方は、ゆっくり時間をかけて食べることを意識しましょう。また、酸味のある食べ物を食べると胃酸が分泌されやすくなります。梅干しやレモンなどがおすすめです。

まとめ

激しいトレーニングで鉄分を消耗しやすいアスリートは、一般の方よりも貧血に注意する必要があります。特に汗をたくさんかく暑い季節には、貧血対策をしっかりと行った方が良いでしょう。もちろんアスリート以外の方も、貧血予防は大切です。鉄分は意識的に摂取しないと不足しがちな栄養素。レバーや赤み肉・鶏卵・ほうれん草・小松菜など、鉄分を多く含む食品を積極的にメニューに取り入れてみてください。